54.神山(みわやま)の山邊・・

神山(みわやま)の山邊(やまべ)

真蘇木綿(まそゆふ)

みじか木綿(ゆふ)

かくのみ故に

長くと思ひき

 

巻2ー157 高市 皇子(たけちのみこ)

 

歌の意味

三輪山の山のあたりにある真麻の木綿は短いものだ。そのように十市皇女の命も短いものであったのに、何としたことか、私はいつまでも長くつづく命だとばかり思っていた。

 

高市 皇子

天武天皇の長子で十市皇女とは異母兄妹になる。毋は皇女ではなく身分は低かった。壬申の乱では十九歳で天武側の軍の指揮官として活躍した。『高市皇子尊』と尊号を付けてあるのも皇太子草壁皇子(くさかべのみこ)の亡き後、皇太子並みに遇せられていたためであろう。

揮毫者 入江 泰吉

大和路の社寺・風景・風物を専門に写した写真家。「図説東大寺」から『四季大和路』まで共著も含めて作品集は七十冊にも及ぶ。作品を一同に集めた写真美術館が奈良市にある。

 

歌碑の場所 54番

桧原神社から山の辺の道を北へたどると視界が開けV字に別れた特徴のある杉の大木を背に立っている。