安倍文殊院

 安倍文殊院は俗に「安倍の文殊さん」として親しまれ、切戸文殊(京都府)・亀岡文殊(山形県)とともに、日本三文殊のひとつに数えらる華厳宗の別格本山です。もともと崇敬寺(安倍寺)という名前で、左大臣(今の首相にあたる)で大化の改新の中枢として諸政策を実行した阿部倉梯麻呂が創建したといわれています。


 現文殊院の南西に遺跡が残り今は史跡公園として保存されている国史跡の安倍寺跡が創建時の崇敬寺であり、鎌倉時代の初めに現在地へ移されたものと推測されています。しかしながら永禄六年(1563年)に戦国大名・松永弾正の兵火によって堂塔が焼失するという苦難の時期がありましたが元亀2年(1571年)に文殊堂が建てられ、寛文5年(1665)には現本堂と礼堂(能楽舞台)が再建され今に至っています。

 

 境内にはたくさんの文化財があり本尊の文殊菩薩騎獅像が宋様式の傑作(獅子は桃山時代の後補)で2013年に4体の脇侍像と共に国宝に指定されているほか他、縁結びの神様として知られる白山堂の社殿は室町時代後期に建立された流造柿葺の建物で重要文化財に指定されています。また境内には2基の古墳があり文殊院西古墳は終末期古墳を代表する切石造りの古墳で国の特別史跡に指定されています。またこの古墳の被葬者は当山の創建者、阿部倉梯麻呂と伝えられています。もう一基の文殊院東古墳は県史跡で別名「閼伽井古墳」とも呼ばれ羨道部の中ほどから水が湧き出ており、この水を使うと書道がうまくなるとのいいつたえがあります。

 

 他にも金閣浮見堂、清明堂、ウォーナー碑、展望台など見所がたくさんあり、そう広い境内ではありませんが季節を問わず参拝客でにぎわう人気スポットです。また桜をはじめ季節ごとに咲き誇る花木も文殊院の魅力を一層引き立てています。